インターネットの普及により、現在では世界中から宿泊施設を予約することが可能になりました。その入り口となる宿泊予約サイトの客層や特色を押さえることは、宿泊施設の運営者として無視できません。
オンライン旅行代理店(OTA)って何?
たくさんあるけど、どのサイトが自分の宿泊施設に向いてるの?
掲載することでどんなメリットがあるの?
本記事では、OTA掲載のメリットを解説すると共に、代表的なサイトの比較についても紹介していきます。
OTA(オンライン旅行代理店)とは?
OTAとは、Online Travel Agentの略称です。オンライン上にのみある旅行代理店のことを指しており、じゃらんや楽天トラベル・Booking.comが代表的なOTAです。
JTB、HISとの違いは?
JTB、HISなどの旅行会社(リアルエージェント)との違いは実店舗を持つか持たないかです。
JTBなどもインターネット販売してるから同じじゃないの?と思うかもしれませんが、これらの会社は店舗営業を行っているのでOTAには含まれません。
代表的なOTA比較5選
ここでは国内、国外のOTAサイトのうち特に有名なサイトを紹介し、客層・特色を比較していきます。掲載する際の参考資料にお使いください。
じゃらん
じゃらん最大の特徴は、国内最大規模のOTAであることです。
アクセス数は数多くOTAが存在する中1位を誇り、予約数では1位2位を争う人気の高さを保っています。
特徴:アクセス数が多い。「日帰り」や「出張」など目的別での検索機能が充実している。旬の特集や家族づれ、ペット可や赤ちゃん連れにオススメの宿などコンテンツが豊富。温泉宿がかなり豊富であり「源泉掛け流し」「にごり湯」など細かなカテゴリー分けもされている。ポイントはホットペッパーなど他のリクルートサービスにも使用可能なため、ポイント狙いで予約する人も多い。
客層:ファミリー層が多め。温泉旅行が充実しているため女性に人気。ビジネスマンは少なめ。
楽天トラベル
楽天トラベルの運営会社は、インターネットショッピングの大手「楽天」です。
楽天自体が有名かつ利用者が多いことからアクセス数はじゃらんに続く第2位。
特徴:じゃらんに次いでアクセス数が多い。楽天の利用者が多いため潜在的な顧客も多い。ビジネス出張向け。温泉地の特集などあるがじゃらん程豊富ではない。楽天ポイントが貯まるためポイント狙いで予約する人も多い。「ANAパック」など楽天独自のパックで予約するとANAとJALのマイルも貯まる。
客層:圧倒的ビジネスマンが多い。出張利用による安さ重視の方が多め。
一休.com
一休.comは、ホテルやレストランの予約事業を行っている一休の宿泊予約サイトです。一休最大の特徴は、ラグジュアリーホテルや高級旅館のみを取り扱っていることです。
掲載宿数は他の大手に及びませんが、確立したコンセプトの元OTAサイトとして成長を遂げています。また、高級なビジネスホテルだけを扱う一休.comビジネスも近年人気が出ています。
特徴:高級旅館・高級宿のみを取り扱う。利用者の平均年齢は40代。ターゲットが絞られている。高級なビジネスホテルだけを扱う一休.comビジネスもある。
客層:平均年齢40代。富裕層。記念日祝いのカップルも多々。
Yahoo!トラベル
Yahoo!トラベルは、日本最大級のポータルサイトYahooが運営している宿泊予約サイトです。予約数・アクセス数はじゃらんや楽天トラベルに及びませんが、安さとポイント還元で差別化を図り予約数を伸ばしています。
特徴:楽天がポイント1%還元・じゃらんが2%の中、Yahoo!トラベルではTポイント5%還元を実施しています。
ダイナミックセールやLCC連携の格安プランなど安さが売りで「子供連れに人気 × 東北」のようにランキング機能が充実しており、家族連れに人気です。
ビジネス出張者向けには、路線図での検索が可能となっており不慣れな土地でも簡単に宿を探すことが可能。直前割も豊富。
客層:ビジネスマン・ファミリー層。安さ重視の方。
Booking.com
Booking.comは、これまで紹介した4つのサイトとは異なり、国外のOTAです。
世界最大のOTAであり、アメリカでは予約数がダントツ1位。
インバウンド旅行者の獲得にも期待ができるOTAです。
特徴:世界70ヵ国でサービスを展開している世界最大のOTA。ホテル・バケーションレンタル・ビジネス利用に向いている。インバウンド集客に最適。宿泊施設オーナーが24時間年中無休で無料のサービスが受けることができるため海外の顧客でも言語の壁を感じることなくやりとりが可能。グランピングや船上ホテルなど宿検索項目が充実。個人経営者(airbnbのような部屋貸し)も多い。特集は充実していない。
客層:世界中から日本に訪れる人々。国内国外問わずビジネスマン。1人旅行者も多い。
AirBnB
もともと2008年にアメリカで始まった民泊向けに始まえい欧米人を中心に人気を拡大した予約サイトです。今も世界各国の貸別荘やバケーションレンタル、一棟貸施設を中心に掲載されています。
特徴:現在世界220の国と地域の宿泊施設が掲載され累計10億人が利用。
客層:世界中から日本に訪れる人々。基本的には海外のバックパッカーや国内ならば1棟貸し利用のお客様が多い。
OTAって日本でどのくらい使われているの?
ここでは、日本でのOTAの利用率、また今後の見込みも紹介していきます。
アメリカの大手旅行調査のフォーカスライト社の調査によると、日本におけるの宿泊施設のオンライン販売率は44%でした。
2018年の時点で、「国内の中小旅館を含む予約のほぼ半分がインターネットで予約された」と言うことです。さらに別のデータでも出張で使われる国内ビジネスホテルのオンライン販売率は、55%と高水準です。
(出典:https://www.travelvoice.jp/20190705-133963)
この時点で、OTAの需要の高さは一目瞭然ですが今後どうなっていくのでしょうか?同じフォーカスライト社が発表した2022年の見込みオンライン販売率は49%になると予想されています。
残念ながらコロナによって海外からの旅行客は一時的に減ってしまいましたが、今後は1人での利用や手軽さを考えたらオンライン予約が多くなるのも想像がつきます。OTA市場の伸びからも、今後さらにオンライン比率が高まっていくのであれば、OTAをうまく活用することがより良いホテル運営につながります。
インバウンド訪日外国人はどのくらいOTAを使うの?
ここでは、年々伸びているインバウンド(外国人観光客)のOTAの需要の高さにも注目して解説していきます。日本を除く世界各国では、OTAが主要な予約ツールであり店舗営業と比べるとその差は歴然です。
中国ではホテル予約の91%がOTA経由、アメリカでは72%とOTA経由での需要の高さは年々増しています。
(出典:http://www.travelvoice.jp/20160819-72344)
海外でOTAは主流ということは、つまり日本を訪れる外国人観光客のほとんどがOTAを利用するという事になります。Booking.comやExpediaをはじめとした国外OTAに掲載するメリットはここにあるのではないでしょうか。
また、近年InstagramなどSNS上の情報が豊富になり「SNSで話題の宿を自身で予約する」そんなことが出来るのもOTAならではの魅力です。これまでOTAの需要や各サイトの比較について解説してきましたが、改めてOTAに掲載するメリットをご紹介します。
ターゲットの多様化
OTA比較5選で紹介したように、各サイトには特色や人気の客層があります。そのため多くのOTAに掲載することで新たな年齢層、客層にアプローチすることが可能になります。
また、国内OTAだけでなくBooking.comのような国外OTAに掲載することで海外にターゲットを置くことも可能になります。
新しい宿であったら「どんな人々をターゲットとしたいか」この観点でOTAを選択することでブランディング効果も期待できます。
認知度上昇
OTAに掲載することでまず多くの人の目に触れることが可能です。数多くの宿が存在するため少しでも認知度を上げることで予約数も伸びていきます。また、たとえ宿を閲覧した人がその時予約をしなくても、将来予約するきっかけにもなります。
認知度上昇
認知度が上昇することで信頼度の上昇も期待できます。あまり知らない宿より、友人からの口コミやよく見たことのある宿の方が信頼度は高いですよね?
宿泊施設にとって重要な信頼度の上昇もOTA掲載によるメリットのひとつです。
まとめ
今回は、Online Travel Agentについて解説しました。特に、従来の旅行会社との違いや需要の高さを理解していただけたことと思います。また、OTAサイトの比較から読者様の宿泊施設がどのサイトに向いているのかお分かりいただけたのではないでしょうか。この記事をOTA活用の参考にしていただければ幸いです。