ホテル・民泊の人手不足はなぜ深刻化するのか?最新データと現場課題から見る原因と解決策

そして業界別に見てみると、ホテル・民泊業では、非社員が「従業員が『不足』している上位10業種」にランクインする一方、正社員側は「従業員が『過剰』な上位10業種」で1位。同業界では、現在、コロナ禍で比較的雇用が守られた正社員は余り、雇止めを受けたであろう「非正社員」については人手不足が起こりつつあるようです。
企業側としては、市場の回復を見据えて、非正社員に戻ってきてほしいと感じているようですね。
参照:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210806.pdf

人手が足りない為、本来自身の専門分野ではない業務を、どの従業員も代わりに担当する機会が増えます。そしてサービスの質の低下と共に、従業員のモチベーションまでも低下。結果、人が育ちません。

目先の人員不足解消の為に、人員をただ増やすだけでは、ホテル・民泊経営を続けていくために必要な後継者の育成を阻害することと同じです。
2019年実施の日本政策金融公庫総合研究所による「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」では、実際に後継者が見当たらないことを理由に、将来的に廃業を予定している企業が3割にのぼっています。
参照:https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tyousa_gttupou_2007.pdf

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またホテル・民泊は24時間365日稼働しており、営業時間に終わりはありません。目の前にいるゲストを満足させるため、明日のゲストをお迎えするために、長時間労働や、休みの日に連絡が来ることが当たり前になってしまっています。長時間働いているのに、給与は低い。これでは将来のビジョンが見えず、辞めていってしまうのも仕方のないことかもしれません。
参照:https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/001.pdf

コロナ禍を経験し、労働者としてホテル・民泊業界に対して感じることは、有事における雇用の不安定さです。コロナ禍の先行きが未だ不透明な中、不安定な業界に身を置くことは、自身の未来のキャリアビジョンを描くことが難しいと感じるかもしれません。
参照:https://www5.cao.go.jp/keizai1/koyoukaigou/20200729/20200729siryo3-1.pdf

まずは従業員の労働環境を、改善する必要があります。給与水準を他業界水準まであげることや、労働時間の適性化、有給休暇取得の徹底など、安心して働く上で満たさなければならない基本的な項目を満たすことです。
労働環境を改善し、整えることは、企業側が従業員を尊重している、というメッセージに繋がります。
「自分たちは会社から大切に扱われている」と実感することで、従業員から企業へのロイヤルティが高まります。

中小企業庁の「2021中小企業白書」にある「ITツール・システム、導入状況」のデータで見てもホテル・民泊業界の多くは、「導入している」より「導入する予定はない」の割合が多くみられます。
 このことが何を意味するかというと、労働生産性を高める取り組みを、ホテル・民泊業界全体では未だに行っていないということ。つまりは、労働力の多くのリソースを「人」に頼っているということです。
参照:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap2_web.pdf

ですが「人」の労働時間は労働基準法で定められており、限りがあります。その中で生産性を高めるためには、業務の効率化を行い、「人」でしか行えない業務に集中させ、それ以外はテクノロジーで解決させる。今後、労働者人口が減少していくことが分かっている日本では、テクノロジーを活用で生産性を向上させるの解決法は、現時点では残念ながら見当たりません。

チェックイン後のお礼メールや宿泊者台帳の転記作業など、特に、日々のルーティンワークとなっている業務はシステムによって効率化できるポイントです。下記記事ではシステムにより、業務効率化と生産性の向上のポイントがまとまっています。併せてご参考にしてください。

弊社のホテル管理システム(PMS)では予約管理客室管理などはもちろん、清掃管理食事管理なども標準で搭載しており、追加費用が発生せずにノンコア業務を自動化・効率化いただけます。制度改正にもクラウド更新で柔軟に対応し、現場の負担軽減と業務品質の向上を同時に実現します。

おわりに

誰もが予期しなかった新型コロナウィルスによる災害を経て、ホテル・民泊の経営はより一層、選択と集中を重視した、経営判断が求められています。従業員たちの未来、企業の将来を作り続ける為にも、実りある投資をご検討ください。

またデジタルツールの利用により接客対応だけでなく、スケジュール管理や台帳管理などのシステムを導入し、業務効率を向上も期待できます。

また、スマートフォンの普及により、デジタル機器へ抵抗がない人も増えてきています。そんな今だからこそ、思い切ってホテルのスマート化に取り組んでみてはいいのではないでしょうか。

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