
本記事はホテル・旅館向けに予約前の情報発信から滞在中、チェックアウト後のフォローまでを網羅した6つの集客カテゴリと、施策実行の3ステップを、全国3,500施設以上のホテル・旅館様へ、宿泊管理システム(PMS)や自動チェックイン機などの提供を通じて得た現場の知見と、最新の業界トレンドを基に、宿泊施設の経営に役立つ実践的な情報を解説します。
目次
はじめに
宿泊施設の集客は、「知ってもらう」段階から「選んでもらう」「再訪してもらう」までの一連の流れを捉えることが重要です。オンライン/オフライン双方の施策を効果的に組み合わせることで、単なる予約促進ではなく、体験価値の提供、リピーター化、口コミの増加といった長期的な成果につなげられます。
特に、デジタル施策は広く効率的に訴求でき、アナログ施策は実地で【選ばれる理由】を育てる役割を果たします。また、宿泊施設向けの予約システム(自社予約エンジン)を活用することで、直販チャネル強化・ブランド強化・収益最大化が可能となります。
本記事では、3つの大きなテーマに分けて、宿泊施設における予約システム活用とSEO/直販強化の視点を網羅します。
直販チャネル強化と予約システムの役割
宿泊施設が自社サイトを通じて予約を受け付ける直販チャネルを強化することは、収益性・ブランド性・顧客データ活用の観点で極めて重要です。ここではその背景・メリット・実践ポイントを整理します。
予約エンジン導入による利益率改善
宿泊施設の集客では、OTA(オンライン旅行代理店)依存から自社予約への移行が利益率改善の鍵となります。
たとえば、客室50室・稼働率80%・平均宿泊単価1万5,000円の場合、
月間売上は [ 50室 × 30日 × 0.8 × 15,000円=1,800万円 ]
この売上に対してOTA手数料が20〜30%発生すると、月間360〜540万円、年間では約430〜650万円が手数料として外部に流出します。
一方、自社予約エンジンを導入した場合、費用は固定で月額8,000円、年間でも96,000円に過ぎません。
仮に全予約の30%をOTAから自社サイト経由に切り替えるだけで、
[ 1,800万円 × 30% × 20〜30%)− 8,000円 = 約107万〜162万円/月 ] のコスト削減が可能です。
年間換算では約1,290万〜1,940万円の利益改善となります。
この差額を広告費やサービス品質の向上に再投資すれば、集客と満足度の両立が実現します。OTAを活用しつつ、直販チャネルを強化することで「見つけてもらい、選ばれる」仕組みを作ることが重要です。
自社予約エンジン導入は、単なるコスト削減ではなく、利益構造を根本から改善する経営戦略です。
顧客データ活用とブランド強化
直販チャネルを通じて宿泊予約を受けることで、宿泊施設が顧客データ(メールアドレス、滞在履歴、嗜好など)を保有・分析できるようになります。これにより、メールマーケティング・会員制度・アップセル提案・口コミ促進といった施策が可能です。
参照元:https://blog.deltahq.com/direct-booking-vs.-otas-which-is-better-for-hotels-and-guests
また、自社サイトの予約エンジンを中心に据えることで、施設のブランド世界観や独自メッセージを伝えやすくなり、OTA掲載のみの状態では得られない「選ばれる理由」を強化できます。
料金戦略と収益最適化
OTAでは料金の均一化(レートパリティ)義務やプロモーション参加義務が生じることが多く、宿泊施設側の柔軟な料金戦略が制限される場合があります。
参照元:https://www.revoptimum.com/blog/otas-vs-direct-bookings-balancing-distribution-channels-to-maximize-revenue
一方で、予約エンジンを活用した直販では、長期滞在割引、特典付きプラン、キャンセルポリシーの最適化など自由度が高く、さらに直販予約の方がキャンセル率が低いというデータもあります。こうした仕組みを使って収益の最大化を図ることが可能となります。
HOTEL SMARTでは、宿泊施設の課題を解決し、さらなる顧客満足度の向上と、収益の向上を実現する宿泊施設向けオールインワンシステムです。サービスの概要や導入事例、具体的な運用方法をまとめた資料をお配りしております。ご検討のお役に立てください!
ホームページSEO・情報発信と予約導線の最適化
予約システムを活用して直販を促進するには、宿泊施設のウェブサイトのSEO強化、露出拡大、そして予約までの導線(ユーザー体験)を最適化することが欠かせません。
本章では、情報発信・導線改善・モバイル/多言語対応を3つの視点で説明します。
SEO・露出拡大とデジタル情報整備
まず宿泊施設が『見つけてもらう』ために、自社ウェブサイト、Googleビジネスプロフィール、SNS、OTAなどのチャネルで情報を整備し、露出を拡大することが重要です。
例えば、検索エンジンで『地域名+宿泊』で上位表示されるよう、キーワード選定・内部リンク・構造化データ・モバイル対応を行います。これにより、サイトへの流入を増やし直販予約への入口を作れます。
予約導線のUX最適化とチャネル統合
サイト訪問者が「宿泊したい」と思った瞬間にスムーズに予約へ進めるよう、予約フォームのモバイル最適化・多言語対応・チャットボット・FAQ設置などが効果的です。
さらに、予約エンジンとホテル管理システム(PMS)やサイトコントローラーと統合することで、在庫誤表示や予約重複などのリスクを低減できます。ユーザー体験(UX)を整えることで、直販予約率が向上します。
ブランドメッセージと直販優位性の訴求
SEOで集めた訪問者を直販予約へ誘導するためには、サイト上で『公式サイト予約ならではの特典』『安心・安全な直接予約』『ブランドの世界観』を明確に伝えることがカギです。
例えば、「公式サイト限定割引」「会員特典」などのメリットを打ち出し、OTAとの差別化を図ります。こうしてブランド価値を高めながら、直販チャネルでの予約転換率を上げることが求められます。アパ直などが代表例として挙げられます。
宿泊満足・再訪・口コミ醸成を支えるシステム連携
予約・滞在・再訪までを一貫して設計することで、顧客生涯価値(LTV)を高め、口コミやリピーターを成長の軸とできます。
ここでは、滞在中体験・再訪促進・口コミ管理という3つの観点から、予約システムを活用した設計を解説します。
滞在中の体験価値向上とシステム活用
宿泊施設滞在中の体験向上は、再訪・口コミの源泉です。予約時に取得した顧客情報を活用し、事前チェックインやスマートロックの利用、キャッシュレス決済、無料Wi-Fi環境、インフォメーションシステムでの館内案内DXなどを備えることで、お客様満足度を高めます。
さらに、滞在中のオプション販売(アップセル)を予約エンジンや連携システムで実現すれば、収益機会も併せて拡大できます。
参照元:https://www.sabrehospitality.com/resources/article/why-every-hotel-needs-a-top-notch-booking-engine/
再訪問促進と直販マーケティングの強化
宿泊後からが、リピーター化の勝負どころです。予約システムを通じて取得した顧客データを活用し、メールマガジン・LINE公式アカウント・会員制度・ポイント付与などによる再訪促進を実施します。
さらに、直販チャネルで予約した顧客への特典や優待を訴求することで、ブランドロイヤルティを育てられます。このような“宿泊前から宿泊後まで一貫した顧客接点”の設計が重要です。
口コミ・評判管理とレピュテーション戦略
口コミ・評判は、宿泊施設の信頼と選ばれる理由となります。予約システムとホテル管理システム(PMS)を連携させることで、滞在後に自動でレビュー投稿を促すメールやデータの蓄積が可能となります。
また、OTAや Googleレビューなどへの返信体制を整えることで、ネガティブレビューにも誠実に対応し、信頼向上につなげられます。直販予約の比率が高まるほど、自社で顧客リレーションを良好に保てるため、ブランド価値を高めるうえでも有効です。
直販チャネル強化する自社予約システム(ブッキングエンジン)

OTA手数料の削減
これまでのOTA(オンライン旅行代理店)では、予約が入るたびに手数料が自動的に発生していました。これに対し、HOTEL SMART Bookingでは月額の固定料金のみでご利用いただけます。そのため、どれだけ多くの予約を獲得しても、追加の手数料がかかることはなく、コストを一定に抑えることが可能です。結果として、経営の予測が立てやすくなり、利益率の向上にもつながります。
価格競争からの脱却
OTA上では、多くの競合施設と並んで掲載されるため、宿泊者が価格を簡単に比較できてしまいます。その結果、価格競争に巻き込まれやすく、利益を圧迫するケースも少なくありません。
一方で、自社予約サイトを活用することで、価格ではなく「ブランド価値」や「サービス品質」で選ばれる環境を整えることができます。これにより、安売りに頼らずに収益性を高めることが可能になります。
予約管理や在庫管理の自動化
HOTEL SMARTのホテル管理システム(PMS)と連携することで、予約情報や在庫情報が自動的に反映されます。さらに、メール送信機能により、ご案内メールやサンクスメールを自動で送信することもできます。これにより、スタッフの手間を大幅に削減しながら、ゲストへの迅速で丁寧な対応を実現します。
業務効率の向上と顧客満足度の両立が可能となり、ホテル運営全体の質を高めることができます。
まとめ
宿泊施設の集客戦略において、「直販チャネルの強化」「ホームページ/SEO・予約導線の最適化」「滞在後の再訪・口コミ醸成までをカバーする体験設計」は、不可分の要素です。特に、貴社が提供されている予約システム・ホテル管理システム(PMS)・チェックインシステムは、この流れの中で中核的な役割を担えます。
OTAチャネルも重要な露出源ですが、直販比率を高めてコスト削減・収益率向上・ブランドロイヤルティ強化を図るには、予約エンジン活用と自社サイト強化が鍵となります。これらの施策を3つの大きな視点で整理し、実践に移すことで、集客・契約・滞在・再訪というサイクルを強固に築くことが可能です。
