
ホステルの定義や歴史、日本の旅館業法上の位置づけをわかりやすく解説。ホテル・カプセルホテル・ゲストハウスとの違い、簡易宿泊所としての法的区分、ホステル運営のメリット・デメリットまで整理します。人手不足・コスト削減に役立つセルフチェックインシステム(HOTEL SMART)の活用方法も紹介し、これからホステル開業・転換を検討している事業者の方に実務的な判断材料を提供します。
目次
ホステルとは何か
結論として、ホステルは一般的に「宿泊者同士の交流や共用(ドミトリー・共用設備)を前提に、比較的リーズナブルに泊まれる宿泊施設」を指します。歴史的背景や日本での位置づけを押さえることで、ホテルやゲストハウスとの違い、開業・転換時の論点が整理しやすくなります。
- ホステルの定義・語源(ユースホステルとの関係)
- 旅館業法における区分(簡易宿泊所)
- 他業態との違い(ホテル/カプセルホテル/ゲストハウス/民泊)
- 運営者向け:運営オペレーションの考え方(料金・清掃・鍵・省人化)
ホステルの定義と語源(ユースホステルとの違い)
「ホステル」が発祥したのは約100年前、1900年のドイツでした。小学校教師をしていたリヒャト・シルマンが授業の一環として野外活動を学生達と行っていた時のこと。突然の豪雨に見舞われてしまい宿泊場所を探すのですが、学生が気軽に泊まれる施設がなく緊急的に小学校に避難を余儀なくされたのです。
リヒャト・シルマンはこの経験から青少年らがもっと気軽に宿泊できる施設が必要だという着想を得て、彼のアイデアはのちに「ユースホステル運動」に発展してきました。そしてユースホステル運動は「国際ユースホステル連盟」の発足の先駆け運動となったのです。現在この機関はユースホステルの世界的ネットワークの中枢を担っており、ユーホステルの普及に寄与しています。
ホステルが日本に入り込んだのは1950年代のことでした。1951年に初めて日本ユースホステル協会が設立されます。ちなみにホステルとユースホステルは同じ意味ですが、ユースホステルと名乗れるのは日本においてこの日本ユースホステル協会に加盟している施設に限られます。
今では北海道から沖縄まで日本全国に約220か所のユースホステルが点在し、青少年のほか子どもから年配まで幅広い年齢層に宿泊を提供しています。日本のホステルの役割はただ宿泊場所を提供するにとどまらず、研修やセミナーの会場として活用され、地域コミュニティと密接な関係を持つことからその土地に関する情報の発信の場としても機能しています。
日本の旅館業法におけるホステルの法的位置づけ(簡易宿泊所)
日本の旅館業法では、ホステルは「簡易宿泊所営業」に分類されます。複数人で客室を共用する構造を前提とし、ホテル営業とは設備要件や運営基準が異なります。開業や業態転換を検討する際には、法的区分の理解が欠かせません。
- 「簡易宿泊所営業」に該当するか(客室の共用構造など)
- 開業時に必要な確認先(自治体・保健所など窓口)
- 施設の安全・衛生面の運用設計(清掃、共用部の管理など)
- チェックイン方法(対面/無人・セルフ)の運用ルール

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ホステルの特徴と他の宿泊施設との違い
結論として、ホステルの違いは「共用を前提にした設計」と「価格帯(リーズナブルになりやすい)」、そして「交流・コミュニティ性」に表れやすい点です。比較する相手(ホテル/カプセルホテル/ゲストハウス/民泊など)によって、設備・運営・体験価値のどこが異なるかが変わるため、ポイントを分けて押さえましょう。
ホステルの主な特徴(価格・設備・コミュニティ性)
結論として、ホステルの特徴は「低価格になりやすい」「共用設備・共用空間が多い」「宿泊者同士のコミュニケーションが生まれやすい」の3点に集約されます。これらは施設設計と運営方針(共用比率、ルール、スタッフ配置)によって強弱が出ます。
- 価格:比較的リーズナブルに提供されることが多い
- 設備:キッチン/風呂/トイレなどが共用であることが多い
- 客室:相部屋(ドミトリー)や二段ベッドなどの設計が多い
- 体験:共用スペースを通じて交流が生まれやすい
ホステルの最たる特徴は宿泊料金が低価格である点です。ホステルの起源が青少年のための宿泊施設であったことからも理解できるように、他の宿泊施設と比べても一泊あたりの値段が安価に抑えられています。
現代のホステルでは施設によって違いはあるものの、日本だと1泊あたりおおよそ3000円(素泊まり)が平均的な価格です。また寝床は二段ベッドや簡易的なベッドである場合が多く、部屋は他の宿泊客と空間を共有するような造りになっています。そのほかキッチンやお風呂、トイレも共用であることが多くこうした構造上の特徴から他の宿泊客とのコミュニケーションが増えるという点もホステルの特徴です。日本ユースホステルが管理するホステルは宿泊施設というよりは一般的な一軒家家屋のような外観である建物がほとんどです。
ホステルとカプセルホテルの違いは?
結論として、両者の違いは「寝床(区切り方)」と「共用の前提範囲」に出やすいです。トイレやお風呂が共有であることは共通していますが、カプセルホテルは一人ずつに区切られた寝床が設けられており、この点ホステルとは構造が異なります。
- ホステル:相部屋・共用スペースを前提にした運用が多い
- カプセルホテル:寝床が1人単位で区切られている
- 共通:共用設備がある、旅館業法上は同じ区分に整理されるケースがある
しかし、日本の旅館業法における種別で見ると、ホステルもカプセルホテルも同じ簡易宿泊施設に区分されているのです。そのため構造上満たすべき条件は同じであるのです。
ホステルとホテルの違いは?
結論として、両者の違いは「提供する価値(体験価値)」と「空間の設計思想」にあります。ホテルが接客や室内空間などのおもてなしに重きを置きやすいのに対し、ホステルは共用スペースを通じた交流・コミュニティ形成の場を提供する側面が強い傾向があります。
- ホテル:個室中心でプライベート空間が確保されやすい
- ホステル:共用スペースが多く、寝室も相部屋になることがある
- ホテル:アメニティや館内サービスで快適性を提供しやすい
- ホステル:アメニティは自身で用意する前提のことが多い
例えばホテルは個別のプライベート空間を提供しますが、ホステルは共用スペースが多く、寝室さえも他人と一緒になることもあります。
ホステルでも朝ごはんを提供してくれるサービスがありますが、備え付けの共用キッチンで宿泊者が自ら料理できるという点もホテルとは異なる特徴でしょう。他者と空間を共有し、他では体験できないコミュニティの輪に入ることもホステルならではの宿泊体験です。
またホテルはアメニティを提供することで館内の快適性を提供しますが、ホステルは宿泊場所を提供すること自体に目的があるため、アメニティは自身で用意しなくてはいけないことがほとんどです。加えてホステルとホテルは旅館業法において明確に区別されています。
ホテルに区分けされる宿泊施設には洋式の構造を取り入れている必要があり、種別としては「ホテル営業」に含まれますが、ホステルは必ずしも洋式の構造は必要ありません。またホステルは宿泊場所を複数の人数で共用する構造を持った宿泊施設と定義されており「簡易宿泊所営業」と位置付けられています。
参照:https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei04/03.html
ホステルとゲストハウスの違いは?
結論として、ホステルとゲストハウスは「近い価格帯・共用のある運営」になりやすい一方で、施設の成り立ちや運営方針、建物の使い方などで違いが出ることが多いです。どちらも低価格帯の提供や共用スペースがあるなど共通点があり、旅館業法においても同じ「簡易宿泊所営業」に含まれることがあるため、混同されやすい側面があります。
- ホステル:相部屋(ドミトリー)中心になりやすく、共用比率が高い運営が多い
- ゲストハウス:交流スペースを重視する運営も多く、施設ごとにスタイルの幅がある
- フロント対応:常駐・非常駐は施設や運営方針によって異なることが多い
ホステルとよく間違われやすい宿泊施設としてゲストハウスもあります。確かに低価格帯の提供やアメニティがないこと、共用スペースがあることなど共通点も多く、また旅館業法においても同じ「簡易宿泊所営業」に含まれることもあり一緒くたにされるのも無理はありません。
しかしホステルとゲストハウスは、運営コンセプトや空間設計によって「別の宿泊体験」として提供されることも多いです。例えばホステルではドミトリー(相部屋)中心の運営が多く、運用上はフロント対応を手厚くする施設もあります。建物も一軒家など一般家屋が活用されるケースが見られます。
その点ゲストハウスでは必ずしも24時間対応のフロントを置かない運営も見られ、建物も貸テナントなどを利用するケースがあります。構造上やセキュリティ上のルールにおいて、施設ごとに違いが出やすいのです。
ホステルと民泊(住宅を活用した短期宿泊)の違いは?
結論として、ホステルは「宿泊施設としての運用」を前提に、共用を設計に取り入れることが多い一方、民泊は「住宅などを活用して短期宿泊を提供する」イメージで語られることが多いです。実際の区分や必要手続きは物件・地域・運用形態によって変わるため、計画段階で自治体等の窓口に確認しながら整理するのが現実的です。
- ホステル:共用スペース・相部屋など、共用前提の設計が多い
- 民泊:住宅・マンションなどの一室を活用するケースが多い
- 運営:鍵の受け渡し、本人確認、清掃の手配など、どちらもオペレーション設計が重要
- 許認可:区分や必要な確認事項はケースにより異なるため、事前確認が必須
ホステル運営の実務視点:メリット・デメリットと効率化のポイントは?
結論として、ホステルは初期投資を抑えやすい一方で、清掃・チェックイン対応・共用部管理など運営オペレーションが収益性を左右します。成功のポイントは、料金設計と運営フロー(清掃・鍵・本人確認・問い合わせ対応)を先に決め、可能な範囲で省人化を組み込むことです。
ホステル運営のメリット・デメリットは?
ホステルは初期投資を抑えやすく、稼働率次第で高い収益性を確保できる点がメリットです。一方で、チェックイン対応や清掃管理など人手を要する業務も多く、人件費や人材確保が課題となりやすい側面があります。
- メリット:ベッド数(キャパシティ)を柔軟に設計しやすい/比較的低価格帯で集客しやすい/共用設計により交流体験を作りやすい
- デメリット:共用部の清掃・管理負荷が増えやすい/チェックイン・問い合わせ対応が集中しやすい/ルール設計(騒音、共用スペース利用等)が重要
運営者向け:ホステル運営の基本オペレーションは?(料金・清掃・鍵・本人確認)
結論として、ホステル運営は「日々のオペレーションをどこまで標準化できるか」が品質とコストの分かれ目になります。特に料金設計、清掃、鍵の受け渡し、本人確認(チェックイン時の確認)を先に固めると、少人数運営や省人化に繋げやすくなります。
料金設計はどう考える?(稼働率と客層から逆算)
- 価格帯:エリア相場と想定客層(国内/訪日、長期/短期など)で基準を作る
- 客室構成:ドミトリーと個室の比率で収益構造が変わる
- 追加収益:共用設備の使い方やサービス設計によって付帯収益の余地が出る
清掃・リネン運用はどう組む?(共用部がボトルネック)
- 清掃対象:客室(ベッド)だけでなく、共用部(キッチン・水回り・ラウンジ)の頻度が重要
- 運用設計:チェックアウト集中時間帯に合わせて人員・手順を固定化する
- 品質基準:写真付きチェックリストなど、誰が入っても同品質になる工夫が有効
鍵の受け渡しはどうする?(紛失・夜間対応を減らす)
- 対面受け渡し:説明が丁寧にできる一方、受付工数が増えやすい
- 非対面受け渡し:運用ルール(保管場所、引き渡し方法、トラブル時対応)を先に決める
- 再発行・紛失時:料金や手順を明確にし、現場判断を減らす
本人確認(チェックイン時の確認)をどう省力化する?
- 事前案内:必要情報や注意事項を予約後にまとめて案内し、現地対応を減らす
- 現地フロー:チェックイン時に「確認→鍵→館内ルール」の順で迷いを減らす
- 問い合わせ対応:よくある質問はテンプレ化し、夜間対応を最小化する
ホステルとゲストハウス、運営するならどちらを選ぶべきか?
運営形態の似ているホステルとゲストハウス。どちらに舵を切るかはこれから運営を考える経営者にとって悩みどころです。ゲストハウスのメリットは宿泊者や旅行客、またスタッフを含めて関係者全体で交流ができることです。
しかし、その一方で交流用のスペースが必要なため客室数に限りができ、また対応コストもかかり利益率が下がるというデメリットもあります。対してホステルは共用を前提とした構造のため、客室数やベッド数を確保することでキャパシティを調整しやすく、設計次第ではフロント業務などの省力化も進めやすい傾向があります。
加えてHOTEL SMART(ホテルスマート)のようなセルフチェックインシステムを利用することで、チェックイン対応を自動化して更なるコスト削減も可能となります。利益率や運営コストを加味すると、ホステルもおすすめの運営形態といえます。
セルフチェックインはホステルと相性が良い?(向くケース・注意点)
結論として、セルフチェックインは「受付対応の波を平準化したい」「夜間対応を減らしたい」「少人数運営にしたい」といった目的と相性が良いことが多いです。一方で、施設ルールの案内やトラブル時の連絡導線など、運用面の設計が前提になります。
- 向くケース:チェックイン時間が分散する/多言語対応が必要/受付人員を最小化したい
- 注意点:館内ルールを事前に伝える仕組み/鍵の受け渡し手順/緊急時の連絡先・対応フロー
セルフチェックインシステムを活用した省人化・コスト削減
近年はセルフチェックインや予約管理の自動化により、少人数運営を実現する施設が増えています。例えば「HOTEL SMART」のようなセルフチェックインシステムを導入することで、フロント業務の省人化や人件費削減につながり、ホステル運営との相性も良好です。
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ホステル開業・運営でよくある質問(FAQ)
Q. ホステルは旅館業法でどの区分になりますか?
A. 一般的に、ホステルは「簡易宿泊所営業」に分類されます。実際の要件や運用上の確認事項は施設の形態や自治体の運用によっても変わり得るため、計画段階で区分の確認を行うことが大切です。
Q. 省人化したい場合、どの業務から見直すべきですか?
A. まずはチェックイン対応(案内・確認・鍵の受け渡し)と、清掃・共用部管理の標準化から着手すると効果が出やすいです。問い合わせ対応もテンプレ化し、運用ルールとセットで設計すると現場の負担が下がります。
Q. ホステルとゲストハウスはどちらが運営しやすいですか?
A. どちらが運営しやすいかは、狙う客層と運営方針(交流重視か、稼働・省人化重視か)で変わります。交流スペースの設計や対応方針でコスト構造が変わるため、先に運営オペレーションと人員計画を組んだうえで選ぶのが現実的です。
まとめ
今回はホステルの特徴と他の宿泊施設との違いについてご紹介しました。日本においてホステルの数はビジネスホテルやシティホテル、旅館といった宿泊施設に比べて数はまだまだ少ないのが現状です。
しかし訪日外国人の増加や旅行客が体験型の宿泊を希望しているという消費者のニーズ変化の影響を受けて、近年ホステルの注目度は高まりを見せています。今後のホステル需要の行方を見据え、選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

