宿泊施設特化型チェックインシステムを徹底解説

本記事では令和7年4月1日より改正されたフロント要件を踏まえてICTを活用した非対面・非接触のホテル向けチェックインシステムをご紹介します。

旅館業法の規制緩和とICT活用

2018年に旅館業法施行規則の一部が改正され、ホテル・旅館に玄関帳場(フロント)を設置せずに、ビデオカメラによるお客様の本人確認が認められるようになりました。その後のコロナ禍の影響もあって、現在では非対面・非接触チェックインを行うホテルが増えています。
フロントでスタッフと接することなく、端末のカメラで顔を撮影することによって本人確認がなされ、発行される鍵を受け取って客室に向かえばよいのです。さらにクレジットカードで事前決済をしておけば、チェックアウトの際にもフロントに立ち寄る必要はありません。

顔認証技術を活用した入室システムも開発されており、ルームキーを発行することなく、入り口のカメラに顔を認識させるだけで出入りすることも可能です。

旅館業における衛生等管理要領とは

背景には、旅館業界における人手不足やICTの進展があります。改正の主なポイントは、宿泊者の本人確認方法の多様化と、非対面によるチェックインの導入が可能となる制度改正です。
従来、宿泊者の本人確認は原則としてフロントでの対面による方法とされており、宿泊者と従業員の直接のやり取りが求められていました。しかし令和7年4月1日の改正後は、本人確認方法として以下の2つの選択肢が認められるようになります。

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/001439321.pdf

1つ目は、営業者が設置したビデオカメラ等を用いて、宿泊者の顔および旅券の鮮明な画像を確認する方法。
2つ目は、自動チェックイン機器等を通じて、事前に共有された情報(氏名、住所、連絡先、暗証番号等)と宿泊者本人の情報を照合する方法で、顔認証や録画による本人確認を含みます。
これにより、従業員との面接を行わずに本人確認が可能となり、無人チェックインの実現が可能となります

また、防犯対策としては、出入口の監視をビデオカメラで常時鮮明な画像として録画し、鍵の受渡しを適切に管理することが求められます。さらに、自動チェックイン機器を利用する場合、本人確認を受けた者にしか宿泊者専用区域(客室等)に出入りできない構造とし、防犯の観点から録画も義務づけられています。

宿泊者名簿に関しても改正が行われました。特に外国人宿泊者については、旅券の呈示とその写しの保存(電子保存を含む)が義務づけられ、これにより名簿上の記載を代替することが可能となります。
ICTを活用した本人確認の例として、施設内のタブレット端末やテレビ電話を用いた方法が示されており、近隣から発信された画像であることの確認も必要です。
原則、宿泊する施設から発信されていることが確認できることとするため、ゲストのスマートフォンだけを使った無人チェックインは出来なくなることが想定されます。

このように、今回の改正は、旅館業界における非接触・省人化の流れを支援し、業務の効率化と感染症対策の強化、さらには宿泊者の利便性向上を目的としています。ただし、自治体ごとに条例の改正が必要な場合もあるため、営業者は各地方自治体の動向にも注意する必要があります。

ラグジュアリーホテルの非接触・非対面サービス

ラグジュアリーホテルの非接触・非対面サービス
ICTによる非対面・非接触サービスの導入は、宿泊特化型ホテルなど、低価格と効率性が重視される業態では必然ですが、実はラグジュアリーホテルでも設置が進んでいます。ラグジュアリーホテルでは、基本的にはフロントでの対面チェックインが行われています。それとは別に自動チェックイン機を設置することによって、ゲストが非対面サービスも選択できるようになっています。個々のゲストには考え方やニーズの違いがあり、それらに対して豊富な選択肢を提供することが求められているのです。

非対面・非接触サービスの効果

このような非対面・非接触サービスによって、顧客は待ち時間を削減してスムーズな滞在が可能となります。またルームキーが必要なければ、鍵の紛失というリスクもなくなり、よりストレスフリーに滞在することができます。
ホテルにとってもメリットは大きく、とくに宿泊特化型ホテルでは、フロントのスタッフを削減することが可能となり、より低コストでの運営が可能になります。また、ハイタッチなサービスが求められるホテルでは、スタッフはチェックインやチェックアウトの作業から解放され、顧客との会話や周辺案内などのおもてなしに専念することができ、サービス向上とスタッフのモチベーション向上にも寄与することが期待できます。

導入メリット

人件費削減と運営効率化

最も顕著な効果は人件費の大幅削減です。24時間体制のフロント業務を無人化することで、年間数百万円から数千万円の人件費削減が可能となります。特に深夜・早朝時間帯の人件費削減効果は絶大で、投資回収期間を大幅に短縮できます。
また、フロントスタッフを客室清掃や施設メンテナンスなど、より付加価値の高い業務にシフトさせることで、サービス品質の向上と業務効率化を同時に実現できます。

24時間対応による顧客満足度向上

自動チェックインシステムは24時間365日稼働するため、深夜到着や早朝出発の宿泊者にも柔軟に対応できます。従来のフロント業務では対応が困難だった時間外チェックインが可能となり、顧客満足度の向上と新たな需要の取り込みを実現します。

宿泊施設特化型 自動チェックインシステム 《HOTEL SMART

宿泊施設のHOTEL SMARTでは、セルフチェックインシステムはもちろん、予約エンジンやホテル管理システム(PMS)など宿泊施設の運営に必要なシステムが全て取り揃えているクラウド型のオールインワンシステムです。

HOTEL SMARTのセルフチェックインシステムはOPERA CloudNEHOPSなど他社サービスのホテル管理システムと連携実績があり、既存のオペレーションを変えずに導入することができます。

現金も対応可能な自動精算機やオンライン決済システムなど連携サービスも幅広く取り揃えており、一棟貸しや民泊など小規模施設からチェーンホテルなど大規模施設まで様々な規模やオペレーションに対応することができます。またお客様のスマートフォンで館内案内/周辺情報が閲覧できるインフォメーションシステムのデジタルガイドや、ルームサービスや注文が行えるスマートオーダーなど施設全体のDX化を実現いたします。

まとめ

自動チェックインシステムの導入は、人手不足解決と経営効率化を同時に実現する戦略的投資です。
初期投資はかかりますが、人件費削減効果と中長期的な収益性向上が期待できます。選定するにあたっては、事前チェックイン機能の有無、外部システムとの連携性、施設タイプに合わせたカスタマイズ性、本人確認方法、決済手段、鍵の受け渡し方法、搭載機能、操作性など、多角的な視点で評価することが重要です。

これらの要素を総合的に検討し、施設の特性やゲストのニーズに最適なシステムを選ぶことで、効率的な運営と高い顧客満足度を目指すことができるでしょう。また、システム選定には長期的な視点からコストパフォーマンスも考えなければなりません。適切なシステムを導入し、施設の競争力を高め、持続的な成長につなげていきましょう。

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