OTAの予約トラブルから学ぶリスクと自社予約強化の重要性

本記事では、全国3,000以上のホテル・旅館様に自社予約システムおよび宿泊管理システム(PMS)を提供してきた実績をもとに、現場で得たリアルな知見と最新の業界トレンドを踏まえながら、宿泊施設の経営に直結する実践的な情報をわかりやすく解説します。

Agodaの問題点とその背景

なぜ、宿泊施設が意図しない予約トラブルが多発するのでしょうか。その背景には、OTAの複雑な流通構造があります。

1.ブラックボックス化する予約経路とサードパーティーの介在

Agodaをはじめとする一部のOTAでは、宿泊施設と顧客の間に「サードパーティー」と呼ばれる海外の旅行代理店(ホールセラー)などが介在するケースがあります。
施設 → Agoda → サードパーティー → 顧客

このように情報が複数の業者を経由することで、以下のような問題が発生します。
情報伝達の遅延・不整合: 施設側が更新した料金や在庫状況が、顧客に届くまでにタイムラグや情報の欠落が生じる。
意図しないプランの造成: サードパーティーが独自に客室を組み合わせたり、条件を付け加えたりして販売してしまう。

結果として、施設側は「予約内容を正確に把握できず、お客様への対応に5時間も要した」というような、深刻な事態に陥るのです。

2. ブランドを毀損する「高額販売」と「空売り」

この構造を悪用し、不当な利益を得ようとする業者も存在します。実際に、大手リゾート施設では「自社では1泊5~6万円で販売している客室が、Agoda上で19万円で販売されていた」という事例も報告されています。

さらに悪質なのが、在庫を確保せずに販売する「空売り」です。業者は先に予約だけ受け付け、もし部屋を確保できなければ一方的にキャンセルします。その結果、宿泊施設は「お客様からのクレーム」と「ブランドイメージの低下」という二重の打撃を受けることになるのです。

Agodaだけではない、OTA依存が招く3つの経営課題

課題①:コントロールできない価格と在庫

自社の知らないところで情報が流通し、価格が決められてしまう状況は、レベニューマネジメントの根幹を揺るがします。
本来得られたはずの収益機会を失うだけでなく、オーバーブッキングによる顧客満足度の低下は計り知れない損失です。

課題②:利益を圧迫し続ける「OTA手数料」

集客力は魅力的ですが、売上が増えるほどにOTAへ支払う手数料も増加します。10%~15%とも言われる手数料は、施設の利益を確実に圧迫します。

また、近隣の宿泊施設が一覧で表示される仕様のため、宿泊料金やプラン内容が一目で比較されやすく、価格競争に巻き込まれやすい構造になっています。その結果、価格を上げにくい状況が生まれやすくなっています。

課題③:資産にならない「顧客情報」

OTA経由の予約では、宿泊施設に開示される顧客情報が限定的です。お客様のメールアドレスや詳細な宿泊履歴が手に入らなければ、感謝のメッセージを送ったり、リピーター向けの特別プランを案内したりといったCRM(顧客関係管理)戦略が打てません。

今後の対策【自社予約システムで経営基盤を築く】

これらの構造的なリスクから脱却し、経営の主導権を取り戻す鍵。それが「自社予約サイトの強化」です。

メリット①:手数料ゼロで収益性を最大化

自社予約サイトからの直接予約には、OTA手数料がかかりません。その分の利益は、サービスの向上、スタッフの待遇改善、新たなマーケティング活動など、施設の価値を高めるための投資に充当できます。

メリット②:顧客データを直接取得し、リピーターを育てる

自社予約なら、お客様の情報を直接、かつ正確に取得できます。情報取得を行うフォームもカスタマイズ可能なため、このデータを活用し、パーソナライズされたおもてなしや、リピートを促すメルマガ施策を展開することで、お客様との絆を深め、施設のリピーターを育てることが可能です。

メリット③:情報とブランドイメージを100%コントロール

価格、空室状況、プラン内容、施設の魅力的な写真。そのすべてを、自社の管理下で常に最新かつ正確に保つことができます。「公式サイトが最も信頼でき、最もお得(ベストレート保証)」という安心感が、お客様からの信頼とブランドイメージを確立します。

実際に、自社サイトでの直販を重視する星野リゾートでは、国内客の約7割が自社サイト経由の予約である(※)と報告されています。これは、自社予約の強化が、いかに強力な経営戦略であるかを証明しています。
(※)参照元:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO90407090R00C25A8TCS000/

失敗しない自社予約システムの選び方と比較ポイント

1.PMS・サイトコントローラーとの「シームレスな連携」

宿泊施設の基幹システムであるPMS(ホテル管理システム)と、各販売チャネルを一元管理するサイトコントローラー。これらと自社予約システムがAPI等でシームレスに連携できるかは、DX推進の絶対条件です。
リアルタイムの在庫・料金反映を自動化し、手入力によるミスやオーバーブッキングを根絶しましょう。

2.施設の魅力を最大限に伝える「デザイン・機能性」

予約完了までのステップが分かりやすいか、施設の魅力が伝わる写真や動画を掲載できるか、多言語対応や事前決済機能は備わっているか。ただ予約できるだけでなく、「予約したくなる」デザインと機能性を備えたシステムを選ぶことが重要です。

3.導入後も伴走してくれる「サポート体制」

システムは導入してからが本当のスタートです。初期設定の代行はもちろん、季節ごとのプラン作成の相談や、より予約率を上げるための活用方法の提案など、貴施設のWeb担当者として二人三脚で伴走してくれるサポート体制があるかどうかが、成果を大きく左右します。

おすすめの宿泊施設向け予約システム

宿泊施設のHOTEL SMART Bookingでは、予約システムはもちろん、ホテル管理システム(PMS)セルフチェックインシステムなど宿泊施設の運営に必要なシステムが全て取り揃えているクラウド型のオールインワンシステムです。
スマートロックやカードキー、サイトコントローラーや会計ソフト、決済システムなど連携サービスも幅広く取り揃えており、一棟貸しや民泊など小規模施設からチェーンホテルなど大規模施設まで様々な規模やオペレーションに対応することができます。

またお客様のスマートフォンで館内案内/周辺情報が閲覧できるインフォメーションシステムのデジタルガイドや、ルームサービスや注文が行えるスマートオーダーなど施設全体のDX化を実現いたします。

まとめ

OTAは、今後も重要な集客パートナーであり続けるでしょう。しかし、それに依存しすぎる経営が、いかに大きなリスクを伴うか、もはや見過ごすことはできません。

これからの宿泊施設経営に求められるのは、OTAと賢く付き合いながら、収益の太い幹となる「自社予約」という絶対的な軸を持つことです。

「OTAのリスク対策や、自社予約比率の向上について、何から手をつければ良いか分からない」
「自社のPMSやサイトコントローラーに連携できる、最適な予約システムを知りたい」
「まずは他社の成功事例や、導入にかかる費用について情報収集がしたい」

このようなお悩みやご要望がございましたら、ぜひお気軽に私たちにご相談ください。
宿泊施設のWeb戦略に精通した専門スタッフが、貴施設の課題に合わせた最適なご提案をいたします。

各種SNSをフォローする

関連記事

TOP